[7-2022] 日本語/日本文化 継承クラス、9月から新学期スタート!

[Japan ニュース 倶楽部 July 2022]
 
ミシガン日本語継承センター
Michigan Japanese Heritage Center(MJHC)

米国生まれ、現地滞在の長いお子さんの日本語教育、あきらめてしまっていませんか?

日本語/日本文化継承クラス、9月から新学期スタート!

現在新入生受付中!

 
JAPAN ニュース倶楽部 7-2022

ミシガン州における日本語教育の現場では、昨年のコロナ禍ではあったが、今後当地で子育てをするご家庭にとっても大変喜ばしい「新しい風」が吹いた。「当センターは、米国に移住した邦人家庭の子ども達に日本語を継承しながら日本文化への理解を深め、日本人としてのアイデンティティを育みながら、グローバルな舞台で活躍する人材育成を目指す目的で設立した学校です」、そう話すのは、2021年2月、ミシガン州より正式な認可を受けて開校された「ミシガン日本語継承センター(MICHIGAN JAPANESE HERITAGE CENTER:MJHC)」の理事でセンター長を務める髙梨カーボーニ真由美さん。同センターは日本語および日本文化の継承を促進する教育機関として創設され、この度、その継承日本語教育についてお話を伺った。

−開校に至った経緯、そして学校について、教育理念などを教えてください。

ミシガンには、日本の在外教育施設である補習授業校が3つあり、在留邦人のお子さんたちを対象に、日本の学習指導要領に基づいた素晴らしい教育の場を長年にわたり提供されています。当センターの「日本語・日本文化継承クラス」では、ミシガンに移住した複数の邦人家庭から、日本文化と日本語の継承を目的とする学習環境を整えて欲しいという声を受け、3年かけて構想を練り、昨年ついに教育機関として出発するに至りました。受講対象は小学校3年生から高校生です。継承日本語と日本の文化教育を通して、日本人のアイデンティティを兼ね備えたバイリンガル・マルチリンガルとしての人材を輩出できたらと考えています。卒業生は地域の日系企業にとっても即戦力となっていくことでしょう。また、週に数時間のクラスで学習するだけでは言語・文化の継承は難しいため、保護者と連携を取り、協力をしながら、クラスから家庭まで一貫した学習環境を一緒に作り出すことが鍵となると考えています。様々な工夫をしながら、質の高い授業を提供するための努力は惜しまずに向上し続けたいと思います。

−どのような体制でクラスを編成するのでしょうか。

6段階のレベルに応じたクラス編成で、多種多様なプロジェクトに特化することで、生きた日本語・日本文化を自発的に協働で学べる場を提供しています。各クラスでは講師に対し児童生徒2_~5_人と、講師の目が全員に行き届く少人数制で授業をおこなっています。また、受講者が現地校の多忙なスケジュールをこなしながらでも持続可能な学習法―テーマ別、コンテントベースの授業となっていて、基本的に宿題やテストはありません。独自のカリキュラム構成を施し、クラスによってはテクノロジーを利用したオンラインでの受講が可能なため、無理なく効率的に学べる工夫もされています。

−外部に向けた活動とは具体的にどのようなことでしょうか。

年に6回あるセンター内・外部に向けた児童生徒主体の文化活動を企画しています。事前に文化活動に関するテーマを数週間かけて授業内で学習し、例えば地域イベントでその成果物を発表することで、地域社会と日本社会の理解を深めるなどの文化交流に貢献したいと考えています。今年度は、和紙の伝統文化について学習する単元があり、その中で紙すきの1300年以上の歴史、材料、工程を豊田市小原で作られた道具を使って学びました。その単元の成果物として、児童生徒が授業で、実際に和紙作りに挑戦しました。先日行われた当センター全体の学習発表会では、そのクラスですでに学んだ児童生徒たちがリーダーになって手順を説明しながら、会場にいた子どもたち全員が紙すき体験に参加しました。色とりどりの世界に1枚しかない和紙作りに大喜びする姿は微笑ましい光景でした。自らの体験を通して「楽しい!」「もっとやってみたい!」という思いで学んだことは、ずっと心の中に残っていくと思います。このような機会を授業でも学外での文化イベントでも多く作ることで、当センターのカリキュラムを更に興味深いものにしていきたいです。

−教材については?

センターのクラスでは、基本的に教科書は使用せず、児童生徒の興味にそったテーマを選び、プロジェクトワーク中心に進めています。各レベルごとに児童生徒それぞれの日本語力を把握し、継承語学習者特有の日本語の力を教師陣が丁寧に補強していく気の遠くなるような作業ですが、個々の言語レベルは確実に伸びているのは自信をもっている点です。

−センターの今後、特に力をいれたい部分、展望等お聞かせください。

全クラスにおいて、更に質の高い授業を提供するために、今後もデトロイト日本商工会基金より助成金を継続的にいただけるよう努力しつつ、2022年度秋からは国際交流基金からもご支援をいただけることになりましたので、継承日本語教育で経験豊富な講師を迎え、教師陣5人体制で臨むことにしています。子どもたちの好奇心を引きだす授業内容を確実に実現しながら、レベル6を終了した時点で、生徒が ADVANCED PLACEMENT (AP) TEST のレベル5(最上級)がねらえるテスト対策も練り込んだカリキュラム作りにも一層力を入れていきたいです。ま _た、州認定の“SEAL OF BILITERACY”(高校生対象)や世界が認める“GLOBAL SEAL OF BILITERACY”などに向けて、教室活動を通して基礎力づくりを行います。文化継承の面ではテクノロジーを駆使し、日本と繋ぎ、学習テーマに沿った内容の伝統文化の専門家や師匠から直接学ぶ機会を設け、文字通り「生きた日本語や日本文化」を学ぶ機会を増やしたいと考えています。

同センターの理事長には、当地日系企業で活躍後、過去にはデトロイト日本商工会でも会長を務めた経験を持つ大光敬史氏が務める。現在はデトロイト美術館理事も歴任し、ボランティアで日米のアートを通した文化交流活動にも尽力するなか日本文化・日本語継承の重要性を常に感じていたところから同センターの創設にも関わる。また、バイリンガル・マルチリンガル教育の専門家として活躍するイースタン・ミシガン大学日本語科の桶谷仁美教授も理事として名を連ねる。このような学校の開校を待ち望んでいたご家庭も多かったであろうと想像に難くない。今後も同センターが当地の日本語継承教育の場として、子どもたちの日本文化理解に寄り添い、成長させてくれる場として発展していくことだろう。ミシガン日本語継承センターへの質問、お問い合わせは、下記のEメールアドレスまで。

michigankeisho@gmail.com
 
 
PDF ICON『Japanニュース倶楽部 July 2022』をご覧になるには、PDFをダウンロードしてください。